学生生活

解剖の日〜貴重な経験〜

飼育実験しているイカナゴを解剖しました. 様々な飼育条件下における生理状態などを調べるために, 特定の器官を摘出します.

今回の解剖の内容はこんな感じです.

  1. 麻酔 (苦しまないように)
  2. 体長 (長さ) と体重の測定
  3. 採血
  4. 脳の摘出
  5. 生殖腺の摘出

まず, どのくらい成長したのかを確認するために, 体長と体重を測定しました. 想像以上に良く成長していました ! 学生が毎日頑張って飼育した成果です (^-^)

そのあとに採血を行いました. イカナゴは体長 9 cm ほどの小さめの魚なので, 採血は「ヘマトクリット管」という細い管を使って行います (大きい魚では, ヒトの採血と同じく注射針を刺して採血します). メスで尾の付け根を切断し, そこから出てきた … あ, ちょっとグロくなりつつありますか ? このへんで止めておきます … この先はご想像にお任せしますね (笑)

脳は頭部ごと摘出して保存液に入れておきます. このサイズのイカナゴだと 1 cm ほどしかありませんが, 基本的な構造はヒトと変わりません. 脳の周りについている骨や皮を丁寧に取り除いて脳を露出させていきます.

脳の部位の大きさは, その種の生態を反映することが多いため, 魚類でも種によって脳の形はさまざまなんです ( ´ ▽ ` ) 魚の頭が落ちてたり, お頭付きの魚料理を食べる機会があったら, ぜひ脳を掘り出して見比べてみてください (๑˃̵ᴗ˂̵) ただ捨てられちゃうのはもったいないです !!

最後に生殖腺を摘出し, 成熟ぐあいを確認しました. イカナゴの繁殖期は初冬なので, この時期はまだ成熟していません. みなさんが見慣れている卵や白子には程遠い形状で, 透明の細いひも状の生殖腺です. ですが, 飼育環境下でも 12 月頃には立派な卵巣や精巣に発達します (^-^)v

採集した血液はストレスに関する物質の測定に, 脳は生殖腺を発達させる物質が作られている部位の特定に使用します. イカナゴでしかできない研究のためだからと分かっていても, 頑張って飼育してきたイカナゴを解剖してしまう時は, 寂しい気持ちになります. そして, そう感じた気持ちを忘れないで実験して欲しいと思います.

どんな理由であっても命をもらっていることに変わりはないです. 最小限の数で, 1 尾のイカナゴから可能な限り情報が得られるように, 学生さんたちには貴重なサンプルという気持ちを常に持って, 引き続き頑張って実験して欲しいと思います.